司法書士資格は努力型の試験。「為せば成る」の気合が勝敗を分かつ
司法書士は登記手続き代行のプロ。家を買ったり、会社を興したりするときの各種登記手続きを代行する。報酬は代行手数料。25年度の合格率は3.5%弱だが、取得後、司法書士事務所などで経験と信頼を積めば独立開業の道もある。
私は大学時代、建築を学びました。その過程で建物診断を行い、非常にもろい物件と出合ったのです。その脆弱な建物で生活している人々を「法的な力で救済できないか」と考えたことが、法律家を目指すきっかけとなりました。法律のことなど何も知らなかった私が「専門学校で司法書士の勉強をしたい」と言い出したのですから、親は驚きました。就職を促す周囲に対して「専門学校在学中に絶対合格する」と説得。自分の性格を考え、少人数制クラスで、きめ細かな指導を受けられる学校を探しました。
専門学校では1年次に法律の基礎を、2年次に本格的な試験対策を演習形式で学習。司法書士の資格試験には筆記と口述があり、難関は筆記です。科目は憲法、民法、商法などですが、私が一番力を入れたのは民法と登記法でした。膨大な知識を身につけるため、平日は夜9時~早朝3時、休日は10時間、休むことなく勉強しました。予習中心でどんどん先へ進み、授業はその確認作業をするペースメーカーとして取り組みました。疑問点が出たらすぐに質問。授業も先生方もフルに活用させていただきました。なにしろ私には、時間もお金も無駄にできないという危機感がありましたので「次回の授業で聞こう」とか「気がひける」とかの発想はありませんでした。
結果的に一発合格しましたが、私はいま、司法書士試験は「努力さえすれば合格する」と実感しています。一般に「司法試験は才能型、司法書士試験は努力型」と言われています。いわば司法書士試験は自分との闘いなのです。私は07年4月、司法書士事務所に就職しました。いまは実務家としての経験を積んでいる最中ですが、資格取得=ゴールではないとつくづく感じています。資格を取って安心してしまうようでは、実社会で伸びません。仮に独立開業しても、たゆみない勉強を続けなければ、顧客の信頼を得ることはできないでしょう。また法に携わる者としての、確固たる倫理感も不可欠です。
今後、司法書士試験に挑戦なさる方々も、あきらめず、「為せば成る」の気合で挑戦してください。